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『第12回 歯科プレスセミナー』をオンラインで開催

 一般社団法人 日本私立歯科大学協会(所在地:東京都千代田区、会長:三浦 廣行)は、2021年10月22日(金)に、オンラインで『第12回 歯科プレスセミナー』を開催いたしました。

 

 これは、歯科医療の見地から、皆様の健康的な生活を考え、サポートすることを目指し、当協会が2010年から開催しているプレスセミナーです。毎回、口腔衛生に関するテーマを取り上げて、これからの歯科が担う役割の大きさや魅力について情報をお伝えしています。

 

講演①:ここまで進化!歯科の最先端技術は患者さんにも社会にも大きなメリットが!Society5.0時代の歯科医療におけるDX

講演②:コロナ禍のマスク生活で気になる 口臭の仕組みと対策

 

◇日時: 10月22日(金)  14:00~15:30

◇登壇者:

講演① 東京歯科大学 (口腔病態外科学講座) 教授・東京歯科大学水道橋病院病院長 片倉 朗氏 

講演② 松本歯科大学(歯科保存学講座)教授・松本歯科大学病院 副歯科病院長 亀山 敦史氏   

一般社団法人 日本私立歯科大学協会 会長  三浦 廣行

一般社団法人 日本私立歯科大学協会 専務理事 羽村 章

 

 

 12回目となる今回は、「ここまで進化!歯科の最先端技術は患者さんにも社会にも大きなメリットが!Society5.0時代の歯科医療におけるDX」と、「コロナ禍のマスク生活で気になる 口臭の仕組みと対策」をテーマに、最前線の研究者が説明を行いました。

 当協会会長・三浦 廣行(岩手医科大学副学長・歯学部長)の挨拶と新型コロナウイルスのワクチン接種に対する当協会会員校における歯科医師によるワクチン接種や学外への接種協力状況についての紹介、専務理事・羽村 章(日本歯科大学歯学部教授)による当協会についてご説明の後、歯科医療における最先端のDX技術と、新型コロナウイルス感染症予防のマスク使用により関心が高まっている口臭対策について、60名以上の報道関係等の皆さまにお伝えしました。

 



「第12回 歯科プレスセミナー」講演風景

(左:片倉 朗 教授 右:亀山 敦史 教授)

 

 

<講演内容> 

 

■講演1

テーマ : 「ここまで進化!歯科の最先端技術は患者さんにも社会にも大きなメリットが!

       Society5.0時代の歯科医療におけるDX」

講師  : 東京歯科大学 (口腔病態外科学講座) 教授

東京歯科大学水道橋病院病院長 片倉 朗氏

 

DXが進行する歯科医療。誰でも、どこにいても、手軽かつ低コストで最新の高度な医療が受けられる時代へ。

政府が提唱しているSociety5.0に伴い、医療・歯科医療の分野においても、DX(Digital Transformation:デジタル技術による社会と生活の変革)が急速に進んでいる。これまでの歯科医療は、個人の高度な技術力による“匠の世界”という一面もあったが、デジタル技術の導入により、誰でも、どこにいても、手軽かつ低コストで最新の高度な医療が受けられる環境になりつつある。

 

光学スキャナをはじめとするデジタル機器により、補綴物の製作期間・コストを圧縮し、産業廃棄物も削減。

一般歯科では、すでにPCなどのデジタル機器が診療用チェアーの周辺に配置され、電子カルテが導入されるなど、デジタル技術の導入が進んでいる。さらに、コンピュータと連携したデジタル機器(光学スキャナ、歯科用CT、3Dプリンタ、ミリングシステムなど)により、補綴物(入れ歯やクラウン、ブリッジなど)の製作過程は、手作りと同等以上の精度で行えるようになった。なかでも、歯型をデータ化する光学スキャナは、型取りと歯型模型製作に用いる石膏が不要になるため、産業廃棄物を削減するSDGsの観点からも社会に貢献するほか、感染リスク低減の点でもメリットを持つものである。

こうした新技術は、製作期間の短縮やコストの低減など、患者さんに大きなメリットをもたらす。従来の技法では、1歯約4〜5万円ほどの費用がかかるジルコニア製クラウンの製作が、デジタル機器を使ったシステム(デジタルデンティストリー)を使用すると同額で約20歯を製作することが可能である。

これらの機器はすでに一般の開業歯科医院にも導入され、現在の歯科大学の学生は皆デジタル機器を使った実習を経験しているので、あと数年で歯科の治療や作業システムは一新されると予測される。

 

東京歯科大学が設立した、歯科医療におけるDXの研究組織「FabLab(ファブラボ:Fabrication LaboratoryTDC」。CAD/CAMや3Dプリンタによる造形物や外科手術の技術を開発。

先端のデジタル技術を積極的に歯科医療に取り入れていくため、東京歯科大学は、研究組織「FabLab(ファブラボ:Fabrication Laboratory) TDC」を立ち上げ、大学全体で総合的に、歯科医療におけるDXの研究開発を行なっている。

ここで研究開発している技術の一例が、CAD/CAMでの入れ歯の製作や、3Dプリンタによるメタルフリーの入れ歯の製作である。もう一つの研究開発が「3Dテクノロジーを用いた口腔顎顔面外科手術支援」で、CAD/CAMやVR技術、MR技術の応用により、コンピュータ上で行った手術のシミュレーションをそのまま再現する手術が可能になった。例えば、骨に対する手術(顎変形症・口蓋裂・顎骨内の腫瘍)は、データからあらかじめ製作したガイドププレートに沿って切ることで精緻な施術が実現。施術者の視野の中に、肉眼では見えない頭蓋骨の形状や血管の位置が投影されるので、切ってはいけない危険な場所を回避できるようになった。

また、インクジェット3Dプリンタで作製した造形モデルは、神経や病変部分などを着色して示してくれるので、さまざまな角度から観察でき、診断や手術に大いに貢献するものである。

顎骨再建オーダーメイドシステムでは、海外の専門のエンジニアとオンラインで腫瘍の切除範囲・移植骨・再建プレートデザインをディスカッションしてオーダーしている。データをもとにしたプラモデルのようにぴったりのサイズのプレートを用いることで、手術時間・出血量が少ない、最小限の手術が実現している。

 

遠隔歯科医療に貢献するXR技術。3Ⅾデータの共有により、複数の医師による精度の高い会議や手術支援が可能になる。

「FabLab TDC」では、XR(Extended Reality:拡張現実)技術の研究にも取り組んでいる。具体的には、ヘッドマウントディスプレイ(HMD)を活用した、仮想空間を現実に重ね合わせる複合現実(Mixed Reality)の技術を実現することで、取り除く病変や、切除してはいけない血管などの3D画像を投影しながら手術や治療をすることが可能になった。

また、XR技術は、遠隔病理診断、遠隔画像診断、遠隔相談、在宅医療でも役立つものである。大学病院と地域の医師、病理医が同時に会議を行う遠隔医療カンファレンスは千葉県市川市ですでに運用されているほか、遠隔地にいる医師がその場にいるようにアバターで表示されるシステムも開発した。遠隔手術支援では、遠隔地にいる医師がPC上で描いた文字や矢印などが3次元空間に示され、手術をサポートすることが可能である。また、ヘッドマウントディスプレイで示される3D画像、患者さんによりわかりやすく説明するためのツールとしても活用できる。

 

 

■講演2

テーマ :「コロナ禍のマスク生活で気になる 口臭の仕組みと対策」

講師  : 松本歯科大学(歯科保存学講座)教授 松本歯科大学病院 副歯科病院長 亀山 敦史 教授

 

マスクを着けることが「当たり前」で「エチケット」の1つになる時代へ。

マスク着用により、口臭が気になる人が約40%いる一方、気にすることが減った人も約25%にのぼる。

新型コロナウイルス感染症がパンデミックの状態になって以降、感染予防のためにマスクを着けることはごく当たり前の習慣になり、エチケットの意味合いも持って着用されている。

日本私立歯科大学協会が、全国の10代から70代の1,000人を対象に歯科診療や歯科医師に関する意識調査を実施した結果、新型コロナウイルス感染症の蔓延拡大によって、行動の変化が生じ、特にマスクの着用が歯や口に影響を及ぼしていることが明らかとなった。特に注目すべきは、「マスクをするようになって、自分の口のニオイが気になるようになった」と回答した方が全体の約40%いた一方で、「マスクをするようになって、歯の健康や口臭を気にすることが減った」という全く逆の回答も約25%にのぼったことである(図1)。

 

1 コロナによる行動変化が歯・口に及ぼす影響

 

出典:「歯科診療や歯科医師に関する意識調査」(2020年9月)

 

 

口臭は自分で判定できないもの。自覚があっても実際は口臭のない人は約半数。

しかし、家族など近い人からの指摘があった場合は要注意で、口臭がある場合が多い。

口臭の9割は、口の中から発生するものである。口の中の粘膜からはがれ落ちた上皮細胞が、細菌の発する酵素によって分解される。この分解が進むと硫化水素(H2S)やメチルメルカプタン(CH3SH)、ジメチルサルファイド(CH3)2Sといったイオウ系のガスを発生し、これが口臭のもととなる。

このようなメカニズムで口臭は発生するが、鼻腔は口腔とつながっていることから、口臭に対して嗅覚は順応を起こすため、自覚することは難しい。それでも、「口臭が強い」ことを悩んでいる人は13.5%(※1)いる。一方、口臭外来の受診者から得たデータ(※2)では、口臭を自覚して受診し、実際に一定の口臭があったのは約30%で、「口臭なし」と判定された人の方が多数(48%)であった。

口臭を自覚し、口臭に悩むようになった人のうち、家族などから指摘をされたことがきっかけであった場合では、実際に口臭を認めるケースがほとんどである。一方で、会話の相手が鼻の近くに手を当てたなどの仕草がきっかけで口臭を意識するようになった場合、統計では口臭の有無とは全く関連性がなかった。そのため、「口臭の自覚」と「口臭の有無」は無関係というのが一般論である。

※1 日本私立歯科大学協会「歯科診療や歯科医師に関する意識調査」(2020年9月)

※2 東京歯科大学千葉歯科医療センター調べ(2015年)

 

マスク着用で口臭が「気になる」ようになった理由は、菌の繁殖と、温められた唾液の濃縮化による臭いの増強。マスク着用で口臭が「気にならなくなった」理由は、臭いの強さの感覚が低下によるもの。

唾液は本来、無臭である。それにもかかわらずマスクに付着した唾液が臭う人がいる理由は、飛沫中の菌が繁殖したこと、そして、呼気で付着した唾液が温められて唾液中の水分が蒸発し、臭いのもとが濃縮されて臭いが増強されたことによると考えられる。

その一方、マスク着用で、口臭が気にならなくなった人がいる理由は、着用によって臭いの強さの感覚が低下するからである。しかし口臭のもととなる硫化水素は、高性能のマスクでも完全に遮蔽できるわけではないので、マスクがあるからといって安心できるわけではない。

 

起床時のほか、女性ホルモンや食事などさまざまな理由で発生する口臭。

歯周炎による口臭は治療によって低減化が可能。

日本口臭学会では口臭症治療のガイドライン「口臭への対応と口臭症治療の指針2014」を作成している。

その中で、誰にも発生する可能性のある生理的口臭に分類されるのが「起床時口臭」「空腹時口臭」である。起床時は一日で最も口臭が出やすく、食事をすると口臭レベルは低くなる。そのため、朝食を抜くと口臭レベルは高いまま推移する。このほか、試験前などの緊張時にも、唾液量減少により「緊張時口臭」が引き起こされる。

ホルモンの変調に起因する生理的口臭としては「月経時口臭」があり、月経時の唾液中のストレス物質の増加と唾液量減少により引き起こされる。

病的(器質的・身体的)口臭の原因としては「歯周炎」があげられるが、歯石除去などの歯周基本治療を行うことで口臭レベルを低下させることができる。また、舌苔と胃病変に関する論文(※3)では、胃のびらんが高度になると、口臭のもとになる舌苔は厚くなることが指摘されている。

※3 土佐寛順 ほか.日本消化器内視鏡学会誌 30(2), 303-313, 1988. ほか

 

口臭予防に効果を発揮するケア用品・成分。

病的な理由による口臭の場合は、歯科医院や専門外来による治療やセルフケア指導が効果的。

歯磨き剤や洗口剤に配合されているCPC(塩化セシルピリジニウム)は、ブラッシングと組み合わせることで口中の雑菌数を減らすのに有効である。塩化亜鉛とグルコン酸銅は、口臭の原因となるイオウ系ガスと結合して発生量を抑制する効果が認められている。このほか、銅製のスクレイパーで舌をケアすることも有効である。

これらのケア用品の使用も有効であるが、歯周病や粘膜の炎症が原因である場合は歯科医院を受診し、適切な治療を受けることが大切である。日本私立歯科大学協会の会員大学附属病院では、専門外来を設けている施設が多数あるので、ぜひ活用していただきたい。

 

【開催概要】

日 時 : 2021年10月22日(金)  14:00~15:30

主 催 : 一般社団法人 日本私立歯科大学協会

内 容 :

<講演1>

 テーマ:ここまで進化!歯科の最先端技術は患者さんにも社会にも大きなメリットが!

      Society5.0時代の歯科医療におけるDX

 講師:東京歯科大学 (口腔病態外科学講座) 教授

 東京歯科大学水道橋病院病院長 片倉 朗氏

 

<講演2> 

 テーマ:コロナ禍のマスク生活で気になる口臭の仕組みと対策 」

 講師:松本歯科大学(歯科保存学講座)教授

 松本歯科大学病院 副歯科病院長 亀山 敦史氏

 

 

【ご参考】

一般社団法人 日本私立歯科大学協会について

 日本私立歯科大学協会は、昭和51年に社団法人として設立しました。歯科界に対する時代の要請に応えられる有用な歯科医師を養成していくため、全国17校の私立歯科大学・歯学部が全て集まりさまざまな活動を展開しています。また、加盟各校では、私立ならではの自主性と自由さを生かして、それぞれに特色を発揮しながら歯科医学教育を推進しています。

 日本の歯科医学教育は、明治以来、私立学校から始まったもので、現在も歯科医師の約75%が私立大学の出身者であるなど、加盟校は歯科界に大きな役割を果たしてきました。本協会ではこのような経緯を踏まえながら、今後とも歯科医学教育、研究および歯科医療について積極的に情報提供を進めていきます。

 

<加盟校>

日本全国の全ての私立歯科大学・歯学部(15大学17歯学部)が加盟しています。

○北海道医療大学歯学部     ○岩手医科大学歯学部     ○奥羽大学歯学部 

○明海大学歯学部        ○東京歯科大学        ○昭和大学歯学部     

○日本大学歯学部        ○日本大学松戸歯学部     ○日本歯科大学生命歯学部 

○日本歯科大学新潟生命歯学部  ○神奈川歯科大学       ○鶴見大学歯学部

○松本歯科大学         ○朝日大学歯学部       ○愛知学院大学歯学部 

○大阪歯科大学         ○福岡歯科大学

 

 

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